静岡大学農学部の江草智弘 助教は、東京大学農学生命科学研究科、University of Natural Resources and Life Sciences Viennaとの共同研究で、主要な人工林樹種に対して、林齢増加に伴う成長をモデル化しました。そして、それを用いて、日本の森林における未来の炭素隔離量を定量的に評価しました。その結果、林業を活発に行うことにより、炭素隔離量が大幅に高まることを明らかにしました。
【研究のポイント】
・日本の主要四大人工林樹種、スギ・ヒノキ・マツ属・カラマツを対象に、日本全国スケールで最新の「林齢-炭素蓄積量関数(注1)」を作成しました。
・この林齢-炭素蓄積量関数を用いて、過去から未来に渡る日本全域の森林による炭素隔離量(注2)を推定しました。
・林業活動を行わなければ、森林炭素蓄積量は、近い将来、飽和することが分かりました。
・活発な林業活動は、日本の森林における炭素隔離量を大幅に高めることが分かりました。
なお、本研究成果は2024年4月17 日にScience of the Total Environment誌に掲載されました。
注1:林齢-炭素蓄積量関数
森林の年齢から面積当たり森林炭素蓄積量を算出する関数。
注2:炭素隔離
大気中への二酸化炭素の放出を防ぐために、炭素を生物学的、もしくは地質学的な方法で安定的に貯留すること。
【研究者コメント】
静岡大学農学部助教 江草 智弘(えぐさ ともひろ)
将来の森林の在り方については、様々な意見があり、議論を積み重ねる必要があります。
本研究で得られた結果は、そのような議論を行う上で、有益な情報を提示するものだと考えています。