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セルロースやキチンは植物細胞壁や甲殻類のカラなどに含まれる高分子多糖類です。しかし糖の分子鎖同士が相互作用し、固体結晶状態であるためとても安定であり、その変換は容易では有りません。天然ではキノコ、カビ及びバクテリアなどの微生物がセルラーゼやキチナーゼ等の酵素を生産しそれらを分解しています。これらの酵素は基質結晶表面に吸着し、分子鎖末端から連続的に低分子化することで効率的な分解を行っています。固体表面で反応を行うこれら酵素は、分子ごとに反応状態が異なるため、1分子計測により吸着速度、脱着速度及び運動と停止のサイクルを詳細に解析することで、その反応機構を解明しています。これにより分解効率の更に高い酵素の開発に貢献していきたいと考えております。
また他の高分子基質として動物細胞表面のヒアルロン酸及びプラスチックの一種であるポリエチレンテレフタレートなどがある。これらの物質は受精や病原菌の防御に関わっていたり、環境中での残留問題などで注目されています。そこでセルラーゼやキチナーゼの解析で得られた知見や手法を用いてヒアルロン酸分解酵素やポリエチレンテレフタレート分解酵素の解析も勧めていきたいと思います。 |